恵比寿大黒屋日記

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zoom RSS 晴れ男の面目躍如

<<   作成日時 : 2009/12/05 01:12   >>

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というより、ターリさんのパフォーマンスの力だな、これは

昨日のイトー・ターリさんのパフォーマンス。
原爆ドーム前を予定していたものの
天気予報は曇りで、お昼頃には雨が。
私は晴れ男ですから大丈夫です!
と宣言したものの、さすがに不安がよぎる。
前日の下見で入念にパフォーマンスする場所を選び
深夜まで機材のチェックときっかけ打ち合わせして
スタッフが足りない機材の調達や機材を運ぶ車と運転手の確保に奔走
何より、下見の時点で、これはなんとしても原爆ドーム前で実現させたい
(雨天の場合はスペース・ピカの室内に変更の予定)
と強く思わせるものだっただけに
午前中の仕事をそわそわしながら上がる。
実は職場でもちょっとしたトラブルが発生していて
午後からこれがさらなる悪化をたどる可能性があった
(で、実際えらいことになったようで、残してきた同僚には申し訳なかった。
まあ、トラブルの原因そのものは私の責任ではないけれど)
んだけど、それより、こっちが(笑)。

携帯でYAHOO天気の雨雲の動きとにらめっこ。
4時頃スペース・ピカにやってきたスタッフは
「晴れてきたよ、大丈夫」と楽観的なことを言うが
雨雲の動きをみると、5〜6時頃に再び雲がかかる。
その後9時頃には晴れる予報で、微妙な状況。
プロジェクターは3台、スピーカーも2台使うので
セッティング中に降り出したらえらいことになる。
セッティング時間を1時間と見積もり
5時までは待機することに。
5時前に空を見ると、若干雲は増えてきたものの
青空がのぞいているところもあり
なんとか大丈夫だろうと判断して機材をドーム前に運び、セッティングを開始した。
ぶっつけだったが、大きなトラブルもなく、ほぼ青写真通りにセッティング完了。
ひととおりの映像と音のチェック、あたり合わせ、きっかけ確認終えて本番15分前。
素晴らしい仕切りっぷりを自画自賛(笑)。
ところが!
さあ開演、というときについにパラパラと!
慌てて機材にブルーシートをかぶせ
ひたすら上がるよう祈る、祈る、祈る!
ここまで来たら本降りにならない限り始めるしかない。
パフォーマンス開始場所である、相生橋そばの
河に降りる石段のところにお客さんを誘導。
心なしか、雨足は弱まる。
ターリさんから開始のキュー。
土手の上から、石段を下りたところの3×5mくらいの
石畳の部分に映像を投影。
その中にターリさんが降りていく。
雨は、止む。
米軍基地の映像の中で
ゴム製の衣装の、胸とおなかにつけられた風船に息をふきこみふくらます。
そしてひねりつぶして割る。
戦争という暴力の中でふみにじられる「女性」という性の
やりきれない哀しい業と、憎悪、怒り。
プロジェクターを持つ私は、即興的に
ターリさんを照らすプロジェクターの白い明かりをゆっくり回転させ
菱形になった光の一方の角が、河の方へと鋭角に伸びていくようにする。
続いてターリさんは、地面に横たわり
苦しげに身をもだえる。
今度はプロジェクターを出来るだけ下におろして近づけ
小さな空間に閉じ込められたような明かりを作ってみる。
指示された動きではないけれど、多分、効果的だった、と思う。
そのあと、慰安婦の描いた絵の映像の中
かごに入ったタマネギの皮を剥き始めるターリさん。
指示通り、絵が半分ターリさんにかかるように。
絵の全体をお客さんに見せたり、半分河の方に投影したり
絵のどの部分をターリさんにかぶせるかは即興的に。
そして存在そのものを踏みにじられた慰安婦の
絶望と怒りと恐怖と狂気、そんなものが乗り移ったかのような形相で
上体を起こしては倒れるターリさん。
石畳の縁の縁石に後頭部をぶつけやしないかと
上から見ていてハラハラ。
映像は慰安婦だったハルモニの写真へ
そしてナヌムの家の金順徳ハルモニの優しそうな顔。
その優しさに力をもらったかのように
立ち上がり、お客さんの方へ歩み出すターリさん。
ターリさんの指示通り、プロジェクターの映像を河の方へとゆっくり遠ざけていく。
順徳さんのお顔が、元安川の暗い河面に溶けて消えていく。

この後、ターリさんは、お客さんと握手をしていくパフォーマンス
なのだが、私たちはプロジェクターとパソコン持って
ドーム前へ移動し、後半のスタンバイ
(事前資料として見た映像では
ここのシーンが印象的だっただけに
見られなかったのは残念)。
本当はドームに映像を映したかったのだが
ライトアップされいるため下見の段階でこれは断念。
地面を中心に映像を投影。
基地の町、コザのミュージック・タウンの静止画に
米兵で賑わうコザの雑踏の動画が二重写しになる。
その中で、釘と磁石を使ったパフォーマンス。
それから映像を一旦中断して薄明かりの中
地面に白いキャミソールを置き、白いテープで貼り付けていく。
テープには、戦後の沖縄での米兵による暴行・強姦事件の新聞記事が
びっしりと書き込まれている。
その文字を読み上げながら、テープを貼り付けていく。
そこに途中から嘉手納基地の戦闘機の映像と
東京のど真ん中にある某ヘリポートを離発着するヘリの映像
最後はそこに仲良く寄り添うように立てられた日米の国旗。
2台のスピーカーから轟く、戦闘機とヘリの轟音。
この映像と轟音を原爆ドームにぶつけることの意味は大きい。
「オバマジョリティ」で浮かれる、空洞化したヒロシマの平和運動への
強烈な皮肉であり、「NO」だろう。
戦時性暴力の被害者と被爆者。
立場は違っても、同じ、戦争という暴力に
この世に存在すること自体を否定された名も無き人びとの
声なき声を響かせること。
素晴らしいパフォーマンスで
本当に原爆ドーム前で実現できて良かったと思う。
正直、昼に雨が降っていたとき
「室内の方がセッティングは楽だなあ」と一瞬考えた自分を恥じる。
そして、パフォーマンスを終えて、ターリさんが
「終わりです。ありがとうございました」と頭を下げたまさにその途端
バラバラッと雨が。
まるで、このパフォーマンスを見守るためにこらえていた空が
思わず涙を流したかのような一瞬の雨。
何故か「赦し」という言葉が頭に浮かぶ。
どこぞの平和市長が口にする
一体誰と誰がなにゆえするのかもわからない「和解」とは対極にある何か。
しかし裏方衆は感慨にふける間もなく
慌てて機材にブルーシートをかける。
が、頭上にはすでに十六夜の月が美しく煌々と輝いていて
雨はすぐに止んだ。
いいパフォーマンスというのは、本当に、天も味方するもんだ。

雨で少しバタバタしかけたけれど
終演後の撤収もスムーズに終わる。
ここでも自分の仕切りっぷりを自画自賛(笑)。
普段は自分が「やる」側の人間だけに
こういう形で完全に裏方の指揮にまわることも少ないので
「お、やればできるじゃん、オレ」と、自分を褒めてあげたくなりました、わはは。
逆に長く「やる」側にいるだけに
裏方の重要性も、やるべきこともわかるということだろうし
こういう即興性の高い野外のパフォーマンスでは特に
自分も似たようなことをやっているからこそ臨機応変に対応できるというのは
多分あるだろうな、という気はする。
メカの扱いにはあんまり自信は無かったんで
大きなトラブルもなく終えられてホッとしたというのが
まあ、正直なところですが(汗)。
もちろん、車の手配など奔走していた東さんはじめ、映画祭スタッフと
無償でお手伝いを引き受けてくださったみなさんのおかげ。
みんなの思いが、天気に勝ったんだな。

今日は夕方まで仕事してから
留学生会館での上映へ。
「周防猿回しの記録」は間に合わず
二本目の「イヨマンテ」だけ。
アイヌの風習であるイヨマンテ(熊送り)は昔から強く興味を持っているのだけど
実際のイヨマンテの様子を準備から終わりまで映像で見るのは初めてだった。
昔は毎年のように行われていたイヨマンテも
「和人化」の中で行われなくなり、今は伝統を継承するために
10年に一度行われるだけなのだそうだが
これはその昭和50年代の映像。
なので、準備をしているときの服装は、アイヌの民族衣装じゃなく
現代日本人の服装なのが、妙な感じがするといえば妙。
しかし、できるだけ真剣に、忠実に再現しようとしているので
昔のそのままではないにしても、なかなか見応えのある映像になっている。
イナウ作りや、熊を解体し、祭壇に供える様子は大変貴重な資料だろう。
動物を殺して食べて、生きる、ということを考えるとき
イヨマンテの思想は大きなヒントを与えてくれる。
それは、一面では、動物を殺すことに対する、人間の側の自分勝手な理屈付けでもあるわけだが
同時に、そのような理屈付けによって、自然の秩序をなるべく乱さないよう
自然から生命のみなもとを「いただいている」のだという感謝と戒めとしても機能している。
パックされた切り身の肉や魚しか見たことのない人には
なかなかそのことは理解できない。
今時はやりの「安全・安心」が、いかに自然を無視した人間様だけの都合しか考えていないものか。
それはたとえば、豊かな自然と、その自然と調和して暮らす祝島の人びとを無視して
「クリーン・エネルギー」というまやかしの宣伝文句を持って建設されようとしている
上関原発を、多くの人びとが許容してしまっていることにもつながっているわけだ。
こうやって自然をどんどん破壊していけば
クローンや遺伝子組み換え、人工的な養殖や化学肥料を使った食べ物ばかりになって
「安全・安心」な食べ物などいずれ手に入らなくなるだろう。
それのどこが「安全・安心」なんだか私にはさっぱりわからんのだが。

さて、イヨマンテを見たら、吐き気がしてきた。
熊を解体する映像を観たからじゃなくて
あまりに疲れすぎて(笑)
今年のヒロシマ平和映画祭、もうホンマに中身が濃厚すぎやで。
と言いつつ、長々書いちゃったな。
そろそろ寝なくちゃ。
明日は朝から愛友市場でイベントよ。
シネ巻き楽しみ!
上映とターリさんのトークもあります!

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