恵比寿大黒屋日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 示談書騒動

<<   作成日時 : 2012/06/01 22:51   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

スジは通さなあかん。

先日、友人が自転車で老婦人に接触する事故を起こしたのである。
友人はほとんど止まっているのに近いくらいの速度だったようだが
よそ見をしていて前から歩いてきた老婦人とぶつかったらしい。
幸い、老婦人は軽い打撲程度で済んだようであるが
友人は様子を見に日参していた。
ところでこの老婦人は生活保護の一人住まいなのであるが
ここに柄の悪い、一目でカタギではないと見えるおっさんが居候している。
友人は最初、このおっさんに治療費をぼったくられるのではないかと心配していたが
話してみると意外にそういう悪気は無いようで
初回の治療費と通院費の2万円あまりで示談にしようと言ってくれたのである
(なお、この治療費とは別に、友人はお見舞い金を1万円渡している)。
もし話がこじれるようなら、と相談を受けていたので、オイラとしても一安心したのである。
ところがそれが思わぬ展開となる。
おっさんが知り合いの保険会社の人からアドバイスを受けて作ったという
手描きの示談書を友人が持ち帰ってきた。
基本的には何も文句をつけるほどのことはない内容であるが
何点か漢字の間違いがあるのと
厳密な示談書にしようと思えばもう少し改良する余地はあった。
友人は、「直すところがあれば直してもいい」と言われている
というので、じゃあ直してワープロ打ちしたのを作ろうか、と言うと
そうしてくれというので、作成。
友人も、よりきちんとした示談書になった、と安心して、これを翌日相手方に持っていった。
するとこのおっさん、意外なところにケチをつけてきた。
私が手直しした際に、当事者をそれぞれ「甲・乙」と表記したのが気にくわないというのである。
おっさんは、「甲乙」なんて普通使わない、と保険屋の知り合いは言っていた、とか。
しかし、いちいち文中にフルネームを記載するのは
特に当事者が長い社名の法人だったりすると煩雑なので
最初に当事者を「○○を甲とし、××を乙として」と但し書きし
以下、「甲は乙に対し慰謝料△△円を支払う」などと記載するのは別に珍しいことではなく
一般的に使用されている書き方である。
おっさんはとにかくそれが気に入らないから、オイラに来て謝らせないと示談しない、と息巻いているという。
まあ、では仕方がないから話だけはしにいこう、と友人に同行して老婦人宅へ。
着いたらおっさんはアパートのベランダに出て待ち構えていて
「『甲乙』が来たぞ」などと聞こえよがしに言っている。
来るまでは、話せばわかるだろうと思っていたが、これは難儀な相手かもしらん、と思う。
おっさんはベランダで椅子に座ったまま動かずこっちへ来いという。
アタマにそり込み入れて、色眼鏡かけた目つきの悪い、いかにもなおっさんである。
オイラ武闘派じゃないので、正直怖くないとは言い切れないが
ともかく、おっさんの前に正座して、ともかく事故のことでは友人が迷惑をかけた、とまず詫びた。
しかしおっさん、「そんなことはどうでもええ」と低い声でスゴんでくる。
来た来た。
「示談書の件ですか」「当たり前やろ。謝れ」
謝れと言われても、こちらには謝る道理が無い。
甲乙という表記を使ったのは特に他意は無いし、一般的に使用される用法で問題は無いが
気に入らないなら、そちらの作った示談書のままでも結構ですと、こちらの言い分を話しても
「お前の話など聞きたくない。謝るのか謝らんのか」
と椅子に座ったまま上からスゴんでくる。
なかなか演出上はうまい立ち位置を作っている。
しかし、謝る道理の無いものを謝る気にはならない。
「謝らんのなら、裁判してもええんやぞ」
ほら来た。
しかし、それは想定内。
裁判になってもこちらが不利になる要素は別に無いし
そんなのハッタリとすぐわかる。
「それは、していただいてもこちらは構いませんが」。
「裁判」の脅しが効かないと見て、今度は
「わしゃ、裁判も喧嘩も負けたことが無いんじゃ」
さあ、来た来た。
友人は、暴れ出したら何をするかわからん感じの人、と言ってたが。
しかし、「裁判も」が余計だ。
どう考えても裁判で勝ちまくるようなアタマのキレる人には見えない。
「裁判も」はハッタリだ。
ならば「喧嘩も」もおそらくハッタリだ。
いや、もちろん、本気で殴り合ったらこっちが負けるだろうが
おっさんもここで暴力沙汰を起こしても自分がお縄になるだけなのは、多分わかっている。
相変わらずドスの効いた声でスゴんではいるが、今にも殴りかかってくるという殺気は感じない。
殴られる覚悟も1%くらいしながら、オイラは「はあ、そうですか」と受け流した。
するとおっさん、どうやら攻め手を失って策に窮したらしく
「謝らんのやったら帰れ」とカーテン引いてベランダの向こうに隠れてしまったのであった。
やれやれ。
「では今日のところは帰ります」と、老婦人の部屋を後にした。

「謝っておけば気が済むと思うんだけど」
と友人は言うが、そういうわけにはいかない。
せめて相手が「甲乙」が気に入らないという理由をきちんと説明してくれなくては
理由も無くただ「謝れ」とスゴまれたからと言って謝るわけにはいかない。
確かに、ここはプライドを捨てて謝ってしまえば示談も成立して
後は関係無い他人として暮らしていけるかもしれない。
しかし、脅せば言うことを聞く相手だ、と思われれば
今後、どんないちゃもんをつけてくるかわからない。
まあ、個人的な印象としては
怒っている理由は定かで無いのだけれど
ともかく「甲乙」が気に入らない
というより、自分の作った示談書に手を加えられたのが気に入らないだけで
この先、何か脅し取ろうと考えている、そういう悪人ではなさそうだった。
が、それならそれで、である。
おっさんは友人に
「これはワシのプライドの問題や。ワシはプライドだけで生きてきた人間や」と言ったそうである。
「スジが通らんことはキライなんじゃ」とも言ったそうである。
きっと、おっさんにはおっさんのプライドがあり、「スジ」がある。
その「スジ」はオイラには理解できない「スジ」だが、おっさんにはきっとあるのである。
ならばなおさらである。
こちらにだってプライドもあればスジもある。
それを枉げて、「謝っておけば気が済むんだろ?」と思いながら謝るとしたら
それは相手を見下した、バカにした態度であって、おっさんに対して失礼である。
おっさんは、ホントにただ謝らせたいだけで
謝りさえすればそれで満足するのかもしれないが
そうだとしても、そんな相手をバカにしたマネはオイラはしたくないのである。
聞けば、友人がおっさんの機嫌がいいときに聞いた身の上話だと
子どもの頃は施設で育ち
長く刑務所暮らしをしたということである。
娘がいて、娘にかっこわるいオヤジの姿は見せられない、とも話したそうである。
気に入らんもんは気に入らん。
謝れと言ったらとにかく謝らせないと気が済まない。
いかつい顔つきでスゴんでみせるその姿も
そういった生まれ育ちの中で染みついたものだろう。
ナメられないようにスゴんでみせなければ、自分のプライドを保てないのだ。
それが透けて見える。
だからこそオイラは謝らない。
おっさんが、施設で育ったとか、ムショ帰りだとかで
どれだけ人から差別されたりバカにされたりしたか知らない。
だからと言って、理不尽な脅しがまかりとおる理由はない。
生まれ育ちで差別を受ける世の風潮はオイラも気にくわないが
同情する理由も、まして哀れむスジアイでもない。
もちろんビビる必要も無い。
同じ目線で同じ土俵で相対そうと思うからこそ
やはりこちらもスジは枉げられないと思うのだ。
それに、ここまで言ったら大袈裟すぎるかもしれないが
こういうところで、とにかく目の前の厄介ごとを回避するために
その場しのぎでスジの通らないことを許したり謝ったりというのが
結局は原発や基地や瓦礫処理や消費税やその他モロモロ
スジの通らない「お上」のゴリ押しをなし崩しに許してしまっている状況にもつながってるんではないかと
そういう風にも思うわけだ。
確かにスジを通そうとすれば角が立つ場面は多いが
ある程度は面倒でもその角を受けて立たねばいかんのではないのか。
ちなみにおっさん、翌日役所に行って、
こうこうで裁判したいんだが、と相談したらしいが
案の定、そんな裁判勝てるわけない、とあっさり言われ
どうやら裁判作戦は無しになったみたい(笑)。
それでも、相変わらず「謝らないと示談しない」という態度は崩さないらしく
(おっさんもなかなか頑固だ)
毎日電話を受ける友人も災難やとは思うが
これ以上金を請求されるいわれもないし
示談が成立しようがしまいがあまり関係のないことなので
しばらく放っておくしかない。
もちろん、法外なことを請求してくるようなら
それこそこっちが裁判起こすしかないんだけど
どうも、そういう気も無いようだし
居候されてる老婦人の方が却って「ごめんなさいね」とこちらに気を遣うくらいで
もうなんだか当事者そっちのけで代理人同士の意地の張り合いという
意味不明な状況なんですが
いや、さて、どうなりますかね。
友人は、包丁持って怒鳴り込んできたりしやしないか、とちょっと心配したりもしてましたが
実は客観的にこの状況を面白がってる自分もいたりするんですけど。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
示談書騒動 恵比寿大黒屋日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる